SIGGRAPH 2012 レポート#3

Technical Papers

  • Fabrication
  • Fabricating Articulated Characters From Skinned Meshes

3Dプリンタの登場によって3Dモデルの制作は容易になったが、3Dアニメーション(つまり3Dモデルの動き、モーション)を実物体で再現するのは困難である。そのため、可動関節のあるフィギュアによってこれを実現する。入力モデルは幾何情報だけでなく関節の情報(LBS)も持っている。関節は球形の凹凸から成る機構を持っているが、これを3Dモデルの関節位置にそのまま当てはめるとオーバラップが起こったりしてしまう。そのため入力モデルを維持しつつ、関節機構の大きさ、配置を自動的に調整する。まだ可動角度もパラメータの一つである。

  • Stress Relief: Improving Structural Strength of 3D Printable Objects

非常に細い部分を持つ3Dモデルやバランスの悪い形状を3Dプリンタで出力すると、自立できなかったり壊れてしまうことがある。そのようなバランスの悪さや(十分な厚みがないことによる)脆さを自動的に検出し修正する。検出にはPermanent Load(重力による負荷)とImposed Load(人の手による負荷)を計算する。後者は人がフィギュアをつまむような操作を想定しており、3Dモデルの2点から向かい合う力をかける。
修正は3Dモデルを部分的に太くしたり支えとなる構造を追加したりする。この検出と修正を繰り返して最終的な出力を得る。が、検出→修正→別の問題を検出→修正→…となったりして修正が適切でなかったりすることもあるようだ。

  • Beady: Interactive Beadwork Design and Construction

五十嵐悠紀研究員のビーズ作品制作手法。対話的なモデリングまたは入力した3Dモデルを変換して、辺の長さが等しい3Dモデルを設計/生成する。設計したデザインモデルからストリップ化(Stripification)を利用してビーズを編むための経路を算出する。得られた経路はそれ自体の可視化だけでなく、Step-by-stepの編み手順として提示することでユーザの制作を支援する。

  • Plastic Trees: Interactive Self-Adapting Botanical Tree Models

最初に「FabricationのセクションだけどFabricationしてないよ」と言っていた。この研究は木のモデリング接触力(?、他のオブジェクト間の作用)、重力、太陽に向かう力のパラメータを対話的に操作することで簡単にモデリングができる。また壁や木同士が接触するような表現も、木のオブジェクトをドラッグしながらリアルタイムに実現できる。

  • Geometric Reconstruction & Tracking
  • Stochastic Tomography and Its Applications in 3D Imaging of Mixing Fluids

気体や液体の混ぜあわせを複数のカメラで撮影し、幾何を再構築する。難しかった。

  • Animation Cartography - Intrinsic Reconstruction of Shape and Motion

連続した(アニメーションの)点群データにおいて各フレームでの対応付けを行う。Template-freeな対応付け手法の一つ。

  • Temporally Coherent Completion of Dynamic Shapes

複数のカメラを使ってモーションをキャプチャしても、隠れてしまう部分には比較的大きな穴が発生する(例えば人体で言えば脇や股のあたり)。きれいなモーションデータを作るためにこの穴埋めを行う。直前のフレームの点群を現在のフレームの点群に合うように変形して補完のための情報とする。

  • Traking Surfaces With Evolving Topology

トポロジの変化に頑健な点群の対応付け手法。基本的には一つ前のTemporally Coherent Completion of Dynamic Shapesと同じで、直前のフレームを変形させて対応付けの参考にする。複数の物体が結合するようなアニメーションでも各点の対応が取れているため、分離した状態での色や表面の変形(例ではDisplacement Mappingが挙げられていた)を維持することができる。このセッションではこれが一番面白かった。

  • Set of Shapes
  • Exploring Collections of 3D Models Using Fuzzy Correspondence

同じようなのを見たことあるような気もするし、よくわからなかった。

  • A Probabilistic Model for Component-Based Shape Synthesis

"Probabilistic Reasoning for Assembly-Based 3D Modeling"の改良版。いくつかの3Dモデルを元に、セグメンテーションで分割された各部分を合成して新しい3Dモデルを大量に生成する。制約条件を追加することでユーザの意図を反映させることもできる。

  • Synthesizing Open Worlds With Constraints Using Locally Annealed Reversible Jump MCMC

家具配置などに代表される最適化を解く。変数の数が固定の場合をClosed、変数の数が変化する場合をOpen Worldというらしい。つまり、家具はもう買ってあってそれをどう配置するかは"Closed"で、いくつかの家具を買って適切に配置するのが"Open"である。タイトル長いが後半のReversible Jump MCMCは既存手法で、局所的なアニーリングを追加している。印象的な例題はゴルフ場の設計。コースやハザード、打数や難しさの調整はまさにオープンな配置問題であり、ゴルフゲームの動画も流れていた。

  • Fit and Diverse: Set Evolution for Inspiring 3D Shape Galleries

いくつかの3Dモデルをシードとして、GAのように交配を繰り返すことで新しい3Dモデルを生成する、Evolutionary Modeling手法。3Dモデルは複数のパーツで構成されているが、交配の際に同じ部品を選択しないようにする必要がある(例えば2つの椅子を合成するときに片方から脚、もう一方から座部を持ってくる)。

Studio Talks

  • Digifab

Fabricationをやっているベンチャー企業(?)みたいな人たちのトーク

    • Get Real! Automated Methods for Rapid Prototyping and Industrial Design

板状素材を噛み合わせて立体形状を生成。Gregらの椅子制作と方式は似ている。ノッチ(噛み合わせ部分)を自動生成し、また組立順序のインストラクションも表示できる。他にもぬいぐるみみたいなものや、金属板を折り曲げて作った(折り目の部分に切り取り線のような加工がしてある)正八面体も見せてもらった。

    • Now That We Have Desktop 3D Printers, The Revolution Can Begin

3Dプリンタ(プリンティング)とは何か?といったお話。今後はIndustrialな3DプリンタとDesktopな3Dプリンタみたいになるだろうという展望。パソコンみたい。ウェブ上の3Dモデル投稿・共有についても。3Dモデルはフリーで公開され(※Creative Commonsとかのライセンスはもちろんある。)、ユーザ同士がマッシュアップすることでインスピレーションを得たり新しいモノを作り出していく。

    • DIYLILCNC v2.0

組み立て式CNC、DIYLILCNCのお話。

Dailies

DreamWorks協賛(というか主催?)のイベント。Animation Studioとかがアニメーションの1シーンの解説をしたりTVで使われる解説CGの話をしたりアーティストが話したりする。その後それぞれのプレゼンに対して投票を行う。これも列ができるぐらい人気のイベントのようで、Technical Paperでは埋まらない大きい教室がいっぱいになってました。




(鶴田)